Thursday, May 3, 2012
背中
日本語の諺には「背中」を使うものがたくさんありますが、わたしは背中ファンです。
背中は語るというか、背中というものの与える印象は色々な渦の中に見事に引き込んでくれます。
困惑だったり、憂鬱さだったり、赦しだったり、誠実さだったり。
上手な笑顔に時々騙されたりもするかもしれません。
でも、背中は嘘をつきません。たぶん。
たびの途中は、刺激に敏感になっているからかもしれませんが、道端で実に様々な出来事に遭遇します。
そしてそのすべてがとても貴重な一瞬の出来事。
もし一本違う道を通っていたら、もしここでご飯を食べなかったら、もし雨だったら。
そんなたくさんの小さな奇跡や偶然の積み重ねで、何かが確実に変わっていくんだとするとちょっと素敵ですが怖くもなります。
カップルがキスをしたり。
お母さんが子供を見て優しい顔になったり。
街のひとが観光客に道案内をしてあげたり。
ラグを敷いてお祈りをする男のひとがいたり。
そして... 彼は何かを道にバラまいてしまいました。
わたしはそんなどこにでもある何かの塊のような瞬間を見るのが好きだから旅を続けているのかもしれません。
誰かの大切な一瞬をこっそり盗み見するような。
それはとても美しく、まさに「プライスレス」です。
たぶんそういう何かを見逃してしまっても、別の場所には必ずその代わりの次の何かがずっとずっとあるんだと思います。
柔らかいものの中に生きて。
やさしい時間は自分たちで作っていく。
どんな日だって特別な日になれるのでしょう。
だからわたしは歩き続けます。
そして、笑って、泣き続けたいです。
picture:コペンハーゲン
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