
たまに見かける街中のランダムなアルファベットの羅列。
それらの写真を撮るのが、わたしにとって旅のひとつの楽しみだったりします。
でももしかしたら、アルファベットを母国語にするひとにとっては何でもない単語だったりするのかもしれません。
ひらがな、カタカナ、漢字。
考えても見れば、世界中には様々な言語が溢れていますが、その中でも3種類の文字が必要なのは恐らく日本語くらいだと思われます。
それこそ、幾つかの多民族国家ではひとつの国で複数の言語が使われるのも当たり前ですが、日本の場合、それは当てはまりません。
外国語に興味があるひと、そして特に興味がないひとが日本にいるように、欧米諸国でもそれは同様です。
旅をしていると当然色々な国のひとに出会う機会が多いわけですが、日本語に対しての予備知識がないひとに日本語について説明するのは結構大変だったりします。
まず「3種類の文字を使い分ける」という概念を理解して貰えない事が多いです。
ひとによっては日本の本が右開きな事、縦書きができる事、パソコンでの文字の打ち方など、わたしたちが普段疑問を持たずにいる事に驚きを覚えるようです。
そんな「言語間の違い」を指摘する時の人々の目は総じてキラキラと輝いていて、面白いです。
個人的にわたしにはアラビア語やヘブライ語が目に美しく映るのですが、逆に漢字を美しいと感じるひともたくさんいます。
適当な当て字で名前を漢字で書いてあげるだけでも大興奮されたりするのには少し不思議な感じがしますが(笑)
その漢字についてですが、個人差やデータ上の差はあると思いますが成人の場合、日本人は3000〜4000字程度の知識を持っていると言われているようです。
そして、同じく文字数という意味で他の言語を見てみると、英語は26字、ドイツ語は30字、アラビア語は29字、ヘブライ語は22字、日本語に近い中国語は4000〜5000字程度、韓国語では40字が使われています。
世界の共通言語と言われている英語はたったの26個のアルファベットから構成されているわけですが… わたしはいつもアルファベットの言語をパズルみたいだなと思ってしまいます。
多くの言語が30個にも満たないアルファベットを駆使して、数えきれない程の単語を作っているわけですから。
小学校で「書きかた」という授業があったのを覚えていますか?。
確か小学校3年生頃だったと思いますが、ある日教室の後ろに鉛筆で書いた楷書がクラス全員分貼り出されました。
それまではわたしは、教科書のお手本通りの美しい平仮名を真似して満足していたのですが、その日わたしはクラスのほとんどの女の子が所謂「丸文字」を書いて提出していたことを知ったのです。
幼いわたしにとっては衝撃でした。
何故かわたしはそれを「ああいう丸い文字で書かなきゃいけなかったんだ!」と解釈したのです。
そして、わたしは必死に文字を丸く書く練習をしました。
それ以降、わたしの書く文字が不格好になったのは言うまでもありません…。
今となっては間抜けな思い出ですが、あの時の脅迫観念は相当なものでした。
日本語の魅力のひとつに、ひらがな・カタカナ・漢字で書かれたあるひとつの単語にもそれぞれ異なるイメージを持てる事があると思います。
例えば、たまご・タマゴ・卵だったり、くるみ・クルミ・胡桃だったり。
それらの単語から浮かぶイメージの差には平仮名や片仮名が形成された背景も関係するかとは思いますが、人それぞれ受ける印象も多少異なるのではないでしょうか。
単語1つ1つの概念に対しても同じ事が言えると思います。
外国語を勉強するのは時間もかかりますし、努力も必要だと思います。
しかし一方で、外国語を知る事によって日本語をいつもと違う観点で知る事ができたのも素晴らしい事だと思います。
それと同時に日本語・英語を問わず自分の語彙の未熟さに辟易することも多いのですが…。
ある日、知り合いのドイツ人が言いました。
「旅行が好きだけど、昔みたいにもう時間が取れなくなった。
だから人と人の間を旅することにしたんだ。」
そんな彼はスペイン語を習得し、新たに日本語を勉強していました。
昔から言われているように、言葉は心を映す鏡でもあり、また同時に言語は文化や歴史、背景も反映していると思います。
どこにいてもただ一歩踏み出すだけで、ちょっと顔を見上げるだけで何か素敵なことに気付けるのではないでしょうか。
物理的な旅だけが全てではない事を彼は言葉にして伝えてくれました。
こどもの時に絵の具を混ぜて新しい色を作った事を覚えていますか?
クレヨンを重ねてから、それを引っ掻いて絵を描くのも大好きでした。
60色のクーピーでも、8色のクレヨンでも色は無限にひろがっていきます。
おとなになっても必要なものは、実はこどもの時から変わってないのかもしれません。
写真:バンクーバーの道端
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